2018/11/19

部下を褒めるコミュニケーションのコツ

こちらの記事ではメンバーのモチベーションを高め組織として結果を出していくことができる「人を動かす褒め方」について、前提となる知識からすぐに実践できる具体的なテクニックまで紹介いたします。もうすでに実践している方は復習として、部下とのコミュニケーションに悩んでいる方、新しく管理職になられた方は参考として、是非一度読んで「人を動かす褒め方」を身につけ実践し、管理職として最大限のパフォーマンスを発揮しましょう。

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管理職のみなさん、最近チームのメンバーを褒めてあげましたか?
こちらの記事ではメンバーのモチベーションを高め組織として結果を出していくことができる「人を動かす褒め方」について、前提となる知識からすぐに実践できる具体的なテクニックまで網羅的に紹介いたします。もうすでに実践している方は復習として、部下とのコミュニケーションに悩んでいる方、新しく管理職になられた方は参考として、少し長いですが是非一度読んでみて「人を動かす褒め方」を身につけ実践し、管理職として最大限のパフォーマンスを発揮しましょう。

褒めるってどういうこと?

褒めるというと一般的にイメージされる「すごい」、「上手」などから「先ほどの会議での質問はとても素晴らしかったね」や「今月の受注件数の改善率はすばらしいね」など業務に関連したものまで、様々な内容の「褒める」がありますが、そもそも「褒める」というのはどういうことでしょうか?

「褒める」という言葉の定義

言葉の定義としてデジタル大辞泉 @ Gooを参照すると、

[動マ下一][文]ほ・む[マ下二]
1 人のしたこと・行いをすぐれていると評価して、そのことを言う。たたえる。「勇気ある行動を―・める」「手放しで―・める」「あまり―・めた話ではない」⇔そしる/けなす。

2 祝う。ことほぐ。

「真木柱 (まけばしら) ―・めて造れる殿のごといませ母刀自面変 (おめが) はりせず」〈万・四三四二〉

とあります。2は少し特殊な使い方ですのでここでは一旦無視すると、1の「人のしたこと・行いをすぐれていると評価して、そのことを言う。たたえる。」が「褒める」という言葉の定義といえるでしょう。

ここでポイントとなるのは「したこと・行い」を「すぐれていると評価」するという点です。つまり「褒める」には「したこと・行い」をきちんと観察・把握し、一定の基準に沿って「評価」することが必要になるということです。そして評価の優劣をつけた結果、優れていると言える対象に対して、その評価を口に出して伝えることで「褒める」という行為が成立するのです。

つまり「褒める」というのは言い換えると「対象の行動や行為を観察した結果として優れていると評価し、それを口に出して相手にフィードバックする」ことなのです。

「褒める」ことの難しさ

「褒める」ということの難しさの一つが先ほど上げたポイントにあります。

例えば数字が締まった後に部下の達成率が200%超えていたときどのように褒めますか?

シンプルに「達成率200%なんてすごいね、さすがだね」と、言って褒めているということはとてもよくある光景だと思います。しかし、実はこの褒め方には2つの誤りが含まれています。

まず一つ目として、この褒め方では達成率という数字を大きく取り上げており前述の「したこと・行い」を「評価」しているわけではなく「結果の数字」を口に出しているだけですので褒めているとは言えず、結局「数字しか見ていない」というネガティブな印象を与えてしまう可能性もあります。

もう一つの誤りとしては何を褒めるのかということです、「結果の数字」を対象にしているのはもちろんなのですが、もう一箇所、このシンプルな一文ですら間違えてしまうほど、犯しやすい誤ちが、褒める対象として部下の能力をあげてしまっている点です。

能力や知能、才能を褒められると「自分には才能がある(からこれで十分だ)」という考えをもってしまい、それ以上努力するモチベーションを下げてしまう可能性や、「自分の能力の範囲内で最大のパフォーマンスを出せばいい」ということでそれ以上の成長や難しいことへのチャレンジをしなくなってしまうことがあります。

せっかく部下のモチベーションを上げようと褒めたはずがむしろ逆効果となってしまっては元も子もありません。では、どのような内容でどのような伝え方をすれば効果的な「褒める」につながるのでしょうか?

「褒める」ことの効果

具体的な褒め方に入る前に、なぜ「褒める」ことでポジティブな影響を与えることができるのか、「褒めて伸ばす」という言葉があるように感覚的に理解している方は大勢いると思いますが少し学術的な観点からその効果についてみて見ましょう。

「褒める」の報酬的価値

人を「褒める」ことについては心理学や教育学のみならず脳科学など様々な分野にて研究がされており、実験に基づいた科学的な検証も多々なされております。
特に受け手(褒められる対象)への動機付けや行動・態度変容については様々な観点で古くから研究がされており、動機を強める強化因子としては物理的なご褒美などの因子と比べても遜色ないことが1970年代には実験により検証されております。
また、脳科学的な観点からも「褒める」ことの効果は検証されており、対象の脳内において金銭的報酬などと同様の部位を活性化させることが確認されています。

「褒める」ことが報酬的な価値を出している事例

このように「褒める」ことは受け手にとって報酬的価値を強く持っており、自然科学研究機構生理学研究所が2012年に行った褒められることで上手になるということの関連性を調べる実験によると褒められることでトレーニング効果を高め結果として褒められた人間のトレーニング効果がより高まったという結果が出ております。(※2)
他にもインターネットメディア事業を手がける株式会社サイバーエージェントでは賞賛メールが社内共有されるというシステムを導入することで賃金などをあげることなく同社の離職率を従来の3分の1に減少させることに成功しており(※3)、「褒める」ことが金銭的報酬に勝るとも劣らない価値を出していると言えるでしょう。

多くの人は働くことで金銭的報酬を得ています。それは逆に言うと金銭的報酬のために働いているとも言えます、当然のことながらその差は個人に依存するものの少なからず共通することでしょう。
そして前述の通り「褒める」ことによる報酬効果は金銭的報酬と同様の効果があることから管理職や周りのメンバーが「褒める」技術を身につけ実践するということは、受けてに対して給与をあげるのと同様の効果をもたらすことができるとも言えるのです。

効果的な「褒め方」

さて、褒めるということの効果について学術的知見から学んだところで、改めて効果的な褒め方について考えてみたいと思います。ここでは先ほどの達成率200%であった場合を例にしてみたいと思います。

元の褒め方の2つのミスに対してどのような褒め方であればよかったのでしょうか?
先ほどあげたように2つのミスそれぞれが与えてしまう可能性のあるネガティブなイメージとして「数字しか見ていない」ということと「自分には才能がある(からこれで十分だ)」という二つがあります。そこで、その二つを与えないような褒め方を考えてみましょう。

まず一つ目、確かに「200%達成した」から「達成率200%」なのですが、言葉上「200%達成した」ということではありません。

これは細かい言葉尻の問題ではありますが、コミュニケーションにおける機微というのは、細かいようで大きいものですので数字ではなく「したこと・行い」を褒めているということをきちんと伝える必要があります。

では、「200%達成するなんてすごいね、さすがだね」だったらどうでしょうか?「200%達成した」という「したこと・行い」を褒めています。数字の点はこれでクリアになりましたね。

次は能力を褒めてしまっているという点です。

Fixed MindsetとGrowth Mindset

ここで、スタンフォード大学のCarol Dweck教授が提唱したFixed MindsetとGrowth mindsetという考え方をご紹介します。
Fixed MindsetとGrowth Mindsetはそれぞれ対比した考え方で、Fixed Mindsetは、個人の能力や知能、才能は生まれ備わったものでそれらは変化することがないという考え方です。
それに対してGrowth Mindsetは個人の能力や知能、才能は努力や経験によって培われるもので成長していくという考え方です。

どちらが組織にとって良いかと言われれば多くの方はGrowth Mindsetの方を上げるでしょう。

Fixed MindsetをGrowth Mindsetへ

ただ物事の考え方なんて人のそれぞれだから、どうしようもないじゃないか、、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが「褒め方」次第ではこのFixed MindsetをGrowth Mindsetに変えていくことができます。

Carol Dweck教授が行った実験の一つで子供にテストを受けさせ、全員に対して80点だったという結果の通知と「能力を褒める」、「なにもしない」、「努力を褒める」の3つの対応をして、その後の子供たちの行動を観察するというものがあります。

その実験では、上記の3つの対応のあと、再度テストを受けさせ、その際に難易度を「初回以下か同程度」と「より難しい」の二択で選ばせました。すると能力を褒められた子供は35%しか「より難しい」を選ばず、努力を褒められた子供は9割以上が「より難しい」にチャレンジしたという結果がでています。
この実験の結果からわかる通り「自分には才能がある(からこれで十分だ)」というのは「能力や知能、才能」を褒めてしまっているため起こるのです。

「努力」を褒める

では、改めて元の褒め方を見てみると「達成率200%なんてすごいね、さすがだね」と「さすがだね」という言葉を使っていますね。この「さすが」という言葉がポイントで、この言葉は受け手の努力などの行動ではなく「能力や知能、才能」など現状備わっているものを褒めている言葉なのです。

そこで「さすがだね」を例えば「頑張ったね」など努力を褒める言葉に置き換えて「200%達成するなんてすごいね、頑張ったね」と言い換えることで、受け手の「したこと・行い」と、そのための努力を褒める言葉になります。

「数値」なのか「したこと・行い」なのかの話も「努力」を褒めるのか「能力や知能、才能」を褒めるのかも、どちらも些細な言葉の違いのようですが、どこを意識しているかで自然と出てくる言葉が変わってきます。そういった何気ない言葉選びが褒める相手をどう感じているかを無意識に現してきますので、上記を意識して効果的な褒め方になるよう気をつけましょう。

いつ褒めると良いのか

ところで、褒めるに際に効果的なタイミングというものはあるのでしょうか?例えば200%達成しているということがわかった場合、最も効果的な褒めるタイミングはいつなのでしょうか?

答えはとてもシンプルです。すぐに褒めましょう。簡単な一言でも良いのでできる限り早く声をかけ褒めてあげましょう。「したこと・行い」が「評価」できるのであれば、その瞬間に褒めてあげることが最も効果的です。作業中などで忙しかったとしても、一瞬作業を中断して声をかけてあげるだけでも良いのです。
また、外にでていたり作業中であったりして気づいたり知ったりするのが遅れてしまった場合でもなるべく気づいたらすぐに褒めてあげることです。

後回しにしたりするということは相手からすると「自分の成功より仕事の方が優先」と無意識に思ってしまうことになります。また他のメンバーが褒めているからといって声をかけるのをやめてしまうのは最もやってはいけないことです。周りからの褒め言葉は部下とあなたの関係性には全く意味をなさないのですから。

とにかく、「したこと・行い」が「評価」できるときにはすぐに褒めるということを心がけるようにしてみてください。

アクノレッジメント

さて、ここまで一般的な意味での「褒める」ということ、及びその手法について書いてきましたが「褒める」コミュニケーションは上述のような一般的なコミュニケーションだけにとどまりません。

アクノレッジメントとは

そこで理解しておきたいこととしてアクノレッジメントというものがあります。コーチングなどでよく使われる単語ですのでマネージャー研修など受けた際に聞いたことがあるという方も多いかもしれません。
このアクノレッジメントというのはacknowledgementという英語単語をカタカナにしたもので辞書で調べると「認めること」というような内容で書かれていることが多いでしょう。
これは訳としては間違いではありませんが、実際にはもう少し幅広い概念で、例えば「存在しているということを認識している」といったことまでを内包しています。

このアクノレッジメントがなぜ「褒める」コミュニケーションにつながるのでしょうか?

事実を伝える

感覚的に理解していただくために二つほど例をあげますと、例えばあなたが毎日朝一に出社しているとして、上司から朝「おはよう、今日も早くから働いているね」と言われたらどう感じるでしょうか?自分の机の上を綺麗に使っていることに対して「いつも机を綺麗につかっているね」と言われたらどう感じるでしょうか?
どちらもただ事実を述べられているだけですが、何となく褒められたように感じませんか?アクノレッジメントとは相手を認めることですが、相手から認められることで人は喜びを感じるのです。

もう少しアクノレッジメントについて理解を深めたいと思います。そもそも人はどのようなタイミングで「存在を認められた、承認された」と感じるのでしょうか?

先ほど例のように自分の行為を人から口に出して言われるというのは当然一つですが、それ以外にも例えば面と向かって「おはよう」と声をかけられることもそうですし、会釈をされるのも「自分の存在を認められる」ということにつながります。

承認欲求とアクノレッジメント

では、なぜ存在を認められることが重要なのでしょうか?近年ソーシャルネットワークの隆盛に伴い「承認欲求」という言葉を聞く機会が多くなったと思いますがこの「承認欲求」は「他人から認められたい」と思う欲求のことです。
アメリカの心理学者アブラハム・マズローが唱えた欲求5段階説において「欠乏欲求」とされその欲求が満たされないとき、人は不安や緊張を感じると言いわれています。また、この「承認欲求」を満たすために近年では様々な事件や事故などがおこされていることからも分かる通り非常に強力な欲求でもあります。
そしてアクノレッジメントとはつまりこの「承認欲求」を満たす最も基本的な行為なのです。前述した通り「褒める」ということは報酬として機能していますが、その理由の一つとしてこの「承認欲求」を満たすという点が挙げられるのです。
つまり、報酬として機能する「褒める」はアクノレッジメントの一つとも言えるのです。

アクノレッジメントを意識しながら「褒める」

では、アクノレッジメントを意識しながら「褒める」ということをさらに深掘りして見ましょう。先ほどの朝の例をもう一度思い出してみてください。
同じ状況において「あれ、今日は早いね。素晴らしい!」と言われたらどう感じるでしょうか?褒められているはずなのに全く心に響きませんね、むしろ普段は全然自分のことを見ていないな、と残念に感じると思います。
アクノレッジメントを意識するということは相手に対して興味をもち、よく観察することがスタートです。相手を観察し「したこと・行い」を「評価」し褒められるところを褒める、つまり褒めるという言葉の定義通りのことをきちんと行うことが第一歩です。

先ほどの例は極端ですが、こちらは褒めているつもりなのに相手がそんなに褒められていると感じていないということは往々にしてありえます。それは人によって褒めてもらいたいポイントや聞きたい言葉が違うことがあるためです。

例えば新規の取引先の大きな契約を取ってきた時に「A社との契約の件、よく頑張ってくれたな」という言葉が響く人もいれば、「あの提案書頑張って作っていたもんな」という言葉が響く人もいるのです。

こちらが最大限に褒め言葉をかけたつもりが「はぁ、、」と言った連れない反応をされたことがある方も少なくないと思います。褒めるということは自己満足で終わってしまっては意味がありません、褒めた時の相手の反応を観察し、より良いポイントを見つけるためにPDCAを回していくことも必要になります。そうやって相手を常に考え観察し、よりよいフィードバックをすることこそがアクノレッジメントを意識して「褒める」ということなのです。

日々のコミュニケーション

アクノレッジメントを意識し「褒める」コミュニケーションを取っていく上で最も気にしなくてはいけないこととしては相手を重要な存在であると捉えて常に相手に気をかけることです。
そのためには当然日々のコミュニケーションをしっかり図ってわずかな努力でもきちんと見逃さずにすぐに「褒める」ということを行っていく必要がありますが、近年ではリモートワークなど様々な働き方を取り入れている企業も増えています。

相手がそばにいない中でうまくコミュニケーションを取っていくためにはslackやchatworkなどテキストベースの業務用のコミュニケーションツールやskypeやhangoutなどオンラインミーティングツールをうまく活用していく必要があります。
それらのツール上では簡単なフィードバックでライトにアクノレッジメントを行う機能があるので積極的に利用していきましょう。

また、上記のようなコミュニケーションツールでは情報が流れがちになってしまうためきちんとメンバーの業務を把握する上では日報や週報などの業務進捗管理の仕組みも併せて導入していくとなお良いでしょう。

reporuを使ってアクノレッジメントを高める

最後に、株式会社reporuでは業務レポーティングツールのreporuを提供しています。
reporuを使うことで、他のコミュニケーションツールでは流れてしまいがちな業務進捗やそれに伴う改善などの努力を把握することができますので、効果的なアクノレッジメントとそれを通じて部下を「褒める」コミュニケーションを活性化します。
是非、この機会にreporuのご利用をぜひご検討ください。


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